• 2023年8月に登場した ASUS のファッショナブルな15型ノートパソコン
  • A BATHING APE によるストリート系デザインが施され、備品も豊富
  • パソコン自体も有機ELで高画質、高音質、性能重視型CPUも搭載で高性能
ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition(2023年)

こんな人にオススメ!

  • ファッショナブルでパンクなパソコンが欲しい人
  • 裏原宿系ファッションや BAPE ファンの人
  • カジュアルで高性能なクリエイティブPCが欲しい人
このレビューは実機の貸出を受けて作成しており、リンクにはアフィリエイトが含まれています。
(提供元:ASUS JAPAN株式会社)

裏原系ノート、登場

世界トップクラスのPCハードメーカー ASUS と、日本のストリート系ファッションブランド A BATHING APE がコラボを組んだ、インパクトのあるデザインのノートパソコン。
それが「ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE® Edition」だ。

ポップでサイケデリックなデザインが目を引くが、パソコン自体も高発色・高解像度・高速描画の有機ELディスプレイを持ち、性能重視型CPUを搭載する高性能モデル。
ファッションブランドのPCらしく、映像とサウンドに優れている。

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition(2023年)

A BATHING APE(略称 BAPE)はパンクやヒップホップ系のカルチャーファッションであるため、毒のあるデザインも見られるが、本機は迷彩柄に可愛らしいキャラクターがちりばめられており、万人向けの装飾となっている。
付属のマウスやバッグの彩色はかなり派手だが、パソコンに刻印された模様は光の反射で浮かび上がる形で、シブい意味でのカッコよさがある。

Core i5 モデルと Core i9 モデルがあり、今回レビューする Core i5 モデルなら、これだけの高機能+付属品満載で約15万円と、価格もリーズナブルだ。
(Core i9 モデルは約20万円なので高性能だが相応の価格)

ASUS らしい先端技術もふんだんに盛り込まれており、見どころが多い。
以下、まずデザインからレビューしていこう。

外観と付属品

デザインと基本仕様

A BATHING APE コラボモデル(BAPE Edition)にはブラックとシルバーがあり、ブラックは黒と緑の迷彩柄、シルバーは白と青の迷彩柄をベースとしている。
付属品のバッグ、マウス、特性壁紙などはこれを基調としているが、パソコン本体の天板はブラックかシルバー単色で、派手な色遣いではない。

もちろん地味ではなく、反射の加減を変えるフォトエッチング加工で天板には模様がびっしりと描かれており、光の角度によってデザイン化された迷彩柄が浮かび上がる。
その様子には独特な世界観とインパクトがあり、他のPCとは一線を画す。

天板の素材は高耐久アルミニウムのようで、金属特有のひんやり感があり、米軍規格の耐久テスト(MIL-STD 810H)をパスしている。

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition 天板

メタリックシルバーと光沢迷彩の天板

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition 天板のアップ

細かくキャラクターが描かれている

内部のタッチパッドにもフォトエッチングの迷彩デザインが施されている。
このようにタッチパッドに柄があるのは初めて見たが、ハイセンスで良い。
本体の端の方にも可愛らしいサルの図案が付いている。

キーボードは意外と普通の見た目だが、キーに貼るステッカーが付属されており、これで任意に BAPE らしい外観に仕上げることもできる。
キーにちょっと変わったところもあるが、詳しくは後述する。

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition 全景

本体外観。壁紙以外は意外とシック

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition 裏面

裏は明るいグレー。ここにもサルがいる

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition タッチパッドの模様

タッチパッドに柄があるのは珍しい

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition キーボード用ステッカー

さらに飾りたい人はステッカーで

本体のサイズは横幅が約36cm、縦幅は約23cm、厚さは19.3mm。
15.6インチのノートパソコンの一般的なサイズだ。

重量は約1.6kgで、15型としては軽く、本機の機能性を考えるとなおさらだ。
これは軽量のアルミ素材が使われているためでもあるだろう。

そしてACアダプタは90Wという高出力でありながら、重さ328g(実測値)。
今までに見た90WのACアダプタの中では最軽量で、本体込みで2kgいかない。

バッテリーも大容量で、性能重視型のCPUを搭載し、有機ELディスプレイであるにも関わらず、75Whの大型バッテリーによって公称14.4時間の長時間駆動を誇る。
アダプタの出力が高いので満充電まで約1.8時間と、充電も高速だ。

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition 大きさ比較

A4とセミB5ノートとの大きさ比較

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition ACアダプタ計量

高出力で軽量のACアダプタ
その技術力はさすがという他ない

接続端子(インターフェース)はやや少なめで、左側にはUSB2.0がひとつだけ。
背部に加え、左側面にも排気口があるためで、冷却重視の設計。

右側には USB3.0(5Gbps)、USB-C(Thunderbolt 4)、HDMI とイヤホン/マイクジャックが備わっているが、SDカードリーダー有線LAN端子は付いていない。

ただ、こちら(Zenbook Pro 14X)の14型モデルには右側に Thunderbolt 4(USB-C)が2つあったが、普通のUSBがなかった。
本機は Thunderbolt 4 が1つに減った代わりに普通のUSBが左右にあって、私的にはこちらの方が使いやすいかなと思う。

なお Thunderbolt 4 なので、USB-C は映像出力(USB-ALT)と充電(USB-PD)の双方に対応している。
無線通信は新規格の Wi-Fi 6E を利用でき、Bluetooth 5.1 も備わっている。

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition 左側面

左側はUSBが1つだけで、ほぼ通気口が占めている。なぜかESCキーが赤い

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition 右側面

右側面。Thunderbolt4完備、普通のUSBもちゃんとある

付属品

コラボモデルである本機には A BATHING APE らしいデザインの付属品がついている。
梱包箱も豪華で、いかにも特別モデルという感じだ。

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition 梱包箱

まず目に付くのはサルのフィギュア。 けっこうな大きさで可愛らしい。
ただ、これは本当に単なる人形で、スタンドになったり、USB ハブになったりはしない。

A BATHING APE は以前からサル(BABY MILO)のフィギュアを販売しており、ファンに向けた本機だけの特別品を用意した、といったところだろうか。

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition 付属 BABY MILO フィギュア

梱包状態の特製フィギュア。手に差し込めるノートPCの模型付き

BABY MILO フィギュアの外観

パソコンを使う BABY MILO。本機特製

付属のワイヤレスマウスはカバーの付け替えが可能で、本体のカラーに合わせた迷彩色のものと、ちょっとシックな黒いカバーが用意されている。
専用レシーバーでの接続とBluetooth接続の双方に対応しており、USBレシーバーが中に格納されている。

充電式ではなく、単3乾電池で動くタイプ。
乾電池式のマウスはすぐ電池が切れるので、予備は用意しておきたい。

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition 付属マウス

付属マウスと付け替えカバー。カバーは簡単に外すことができる

付属マウスの中身

マウス内部。持ち運び用ストラップがある。電池の分だけ少し重い

そして持ち運び用のバッグ
15.6インチノートがピッタリ収まり、クッションがあって本機を衝撃から守ってくれる。

内部にはマジックテープの付いた多くのポケットが用意されており、マウスやACアダプター、小物などを分けて収納可能。
表面は防水で、雨なども防ぐことができる。

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition 付属バッグ

本機がすっぽり入る専用バッグ。便利だが、男性が持つにはちょっと可愛すぎ?

付属バッグの中

中はこんな感じ。青一色ではなく、うっすらと迷彩模様が施されている

ステッカーにはキーボード用と装飾用がある。
キーボード用の高耐久ステッカーには、ちゃんと日本語キーボード用も付いている。
ただ、これを貼るとキーボードバックライトが遮られ、文字は光らなくなるので悪しからず。

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition 付属ステッカー

先にも述べたが、本機(Core i5 モデル)はこれだけの付属品がありながらもリーズナブルなので、「コラボグッズのおかげで割高になっている」といった印象はなく、むしろお得感がある。

モニター(有機ELディスプレイ)

ASUS は美しい有機ELディスプレイ(OLED)のノートパソコンを豊富に用意しており、本機もそのひとつ。
発色の鮮やかさと明るさ、くっきりした視認性の良さは、一目見てわかるほどだ。
ファッションブランドとのコラボ機であるため、画面の美しさは重要だろう。

解像度は 2880x1620 の2.8K、俗に言う3Kの高解像度だ。
発色は DCI-P3(アメリカの映画団体が定めた色の範囲。一般的なsRGBより上位)で100%、sRGB換算だと133%の超高色域を持つ。

さらにリフレッシュレート120Hz あり、高フレームレートの映像やゲームをとても滑らかに動かせる。
カーソルの動きも滑らかなので作業しやすい。

また、外での使用を想定しているようで、輝度600nit と非常に高く、太陽光の下でも視認性を確保できる明るさを持つ。
ASUS の Lumina OLED は応答速度コントラスト比も破格の高さで、視野角も広く、有機ELディスプレイの素晴らしさを実感できるだろう。

光沢モニターなので写り込みは生じるが、非光沢にするとせっかくの発色が損なわれるため、有機ELは光沢なのが普通だ。

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition 屋外使用イメージ

色鮮やかな高輝度モニターで屋外でも快適な写真加工や映像編集が可能

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition ヒンジ

ヒンジは180度、平らになるまで開け、多人数での使用やプレゼンにも向く

有機ELディスプレイも完璧ではなく、やや青みが強い、焼け付きが生じやすい、低輝度でちらつきやすい、消費電力が多い、といった難点がある。

ただ、ASUS の有機EL搭載機には独自の色調整機能があり、色味の問題は解消されている。
表示を微細に動かして焼け付きを防止するピクセルシフト機能も備わっていて、自動輝度調整のフリッカーフリーディミング機能で低輝度でのちらつきも防止。
消費電力の多さは大容量バッテリーと高出力アダプターで対処しており、一通りの弱点は克服されている。

有機ELを安心して使える技術が備わっているのも ASUS 機の長所だ。

ASUS OLED Care
※OLED のハードの弱点を新技術とソフトウェアでカバー。

カメラ / サウンド

本機には約207万画素のカメラと2方向のアレイマイクが付いている。
ASUS AiSenseカメラ と名付けられた豊富なオンライン会議用の補助機能も備わっており、照明の調整、背景ぼかし、視線の補正、顔の追従などを利用可能。

マイクは正面の音声を正確に捉えることができ、ASUS独自のAIノイズキャンセリング機能が備わっていて雑音もカット可能だ。

顔認証はないが、電源ボタンに指紋センサーが内蔵されており、ボタンを押すだけで指紋を読み取って自動でログインしてくれる。

ASUS AiSense カメラ設定
WEB会議イメージ

ASUSの製品はオンライン会議用の機能も充実している

そしてサウンドが素晴らしく、Harman / Kardon(ハーマン・カードン)のスピーカーを搭載しており、おなじみ Dolby のイコライザー(音響調整ソフト)まで備えている。

Windows のシステム音にさえ深みを感じるほどのサウンドで、音楽を聴けばクリアな音と響く低音を体感できる。
さらに Dolby のイコライザーで調整を加えれば、広がりのあるサラウンドも体験できるだろう。
ドルビー対応のオーディオ機器があれば、立体音響を楽しむことも可能だ。

音響設定にはミュージック、ゲーム、映画などがあるが、自動調整の「ダイナミック」が手軽でおすすめ。
音に合わせて深みと重低音を強くしてくれる。
ドルビーの音響設定は、本機の設定ソフト MyASUS からも可能だ。

MyASUS サウンドモード設定
※MyASUS でサウンドモードを変えられる。音楽を聴きながら一通り試して、好みの音色を見つけよう。

なお、「MyASUS」には各種のサポート機能や診断機能も備わっている。
F12キーで簡単に呼び出せるので覚えておこう。

他に、画像加工ソフトの「Photo Director」、映像編集の「Power Director」、スマホやタブレットをサブモニターにする「GlideX」など、便利なソフトウェアがいくつか初期インストールされている。

MyASUS
※各機能は MyASUS に簡潔にまとめられており、ASUS機同士ならファイルのやり取りも行える。

キーボード / タッチパッド

Vivobook S 15 は15.6インチモデルであるため、キーボードの広さには余裕があり、横3桁のテンキーも備わっていて数値入力しやすい。

キーボードは「キーの反発や移動量を緻密に計算し、満足のいく打鍵感を実現した」とアピールされている ASUS ErgoSense キーボードだ。

私的な使用感としては、キーの硬さは普通ぐらいだが、押し込んだ時に明確な打鍵感があり、反発も強めでリズミカルなキータイプを行える印象。
ただ、キーストローク(深さ)はそれほどでもないため、強めに叩くと指に相応の衝撃があり、やや板を打っている感覚はある。

外観の特徴として、Backspace と¥キーなど、一部のキーがくっついているように見える。
また、¥キーはかなり小さく、見ながら押さないとミスしていまいそうだ。
ただ Backspace が大きい方がキータイプ時に便利なので、不便という印象はない。

一部のキーがくっついて見えるのはデザインのためであり、キー配置の問題ではない。
タイプしていて違和感を感じるようなことはないのでご安心を。

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition キーボード

ポチポチした感触のボタン型キー
人間工学に基づいて設計されたらしい

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition エンターキー周辺

エンターキーと右シフトが隣のキーとくっ付いて見えるが、そう見えるだけ

ファンクションキー(F1~F12キー)は音量や明るさ調整などの機能が優先されている。
F5 や F7 として使うには Fn キーと併用する必要があるが、これは MyASUS のファンクションキーロックの設定で変更できる。
ちなみに、日本ではファンクションキー優先が普通だが、海外では機能優先が多い。

迷彩柄の入っているタッチパッドはスベスベ+しっとりの触感で、サイズも大きめ、操作性は良好だ。
押し込みの硬さも適度で、もちろん押し込みを使わない操作や、ジェスチャ操作にも対応。
特別な機能はないが、使い勝手は良い。

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition キーボードバックライト

暗所ではキーの印字が光を透過する
Fn ロックは Fn+ESC でも切り替え可

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition タッチパッドの絵柄

先にも述べたが、柄のあるタッチパッドが存在感があっていい

パーツ性能

処理性能(CPU)と動作モード

本機(ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE® Edition K5504VA)には、Core i5-13500H を搭載したモデルと、Core i9-13900H を搭載したモデルの2種類がある。

今回の試用機の CPU は Core i5-13500H で、処理能力は Core i9 に劣るが、性能重視型(H)であるため標準型の Core i7 より高性能。
そのぶん消費電力と発熱は大きいが、大型バッテリーと、ASUS IceCool と名付けられた優れた冷却機構でカバーしている。

そして本機には3つの動作モードがあり、より高速に、もしくは静かに動作させることができる。

MyASUS ファンモード

本機の動作設定ソフト MyASUS には「ファンモード」という項目がある。
その名前からファンの調整をするものであるように思えるが、実際にはCPUパワーを含めた処理速度の調整でもあり、パフォーマンス、スタンダード、ウィスパー に切り替え可能。

ファンモードは MyASUS を経由しなくても、Fnキー+F を押すことで手軽に変えられる。
利便性に大きく影響するので、本機を使うなら必ず覚えておこう。

Core i5-13500H の基本スペックは以下の通りだ。

Core i5-13500H, CPU-Z

コア構成は性能重視のPコアが6つ、電力効率重視のEコアが8つの、14コア20スレッド
基準のTDP(電力と発熱の目安)は45Wだが、実際の電力はファンモードによって変わる。

以下はパフォーマンスモードでベンチマーク(性能測定)を行った結果と、他のノート用CPUとの性能比較グラフだ。
グラフにはスタンダードモードとウィスパーモードの結果も含めている。

Core i5-13500H, CINEBENCH R23, ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition, パフォーマンスモード

Core i5-13500H(パフォーマンス)

測定中の再現(非ブースト時)

・マルチコア(Cinebench R23)

Core i9-13900H:13700

Core i7-13700H:13500

Core i5-13500H:12800(パフォーマンス)

Core i7-12700H:12500

Core i5-13500H:12000(スタンダード)

Core i7-11800H:10800

Ryzen 5 6600H:9750

Core i7-1360P:9700

Core i5-13500H:9650(ウィスパー)

Core i5-1340P:9500

Core i7-1260P:8700

Core i5-1240P:8400

Core i5-11400H:8250

Core i7-1355U:7000

Core i5-1335U:6000

Core i7-1165G7:5800

Core i3-1215U:5500

Ryzen 3 7330U:4950

Core i5-1135G7:3850

Core i3-1115G4:2600

Celeron N5100:1400

Celeron N4100:950

・シングルコア(Cinebench R23)

Core i9-13900H:1900

Core i7-13700H:1850

Core i7-1360P:1820

Core i7-12700H:1810

Core i5-13500H:1780(本機)

Core i7-1260P:1735

Core i5-1340P:1720

Core i7-1355U:1720

Core i5-1240P:1680

Core i5-1335U:1670

Core i3-1215U:1550

Core i7-11800H:1520

Core i7-1165G7:1500

Ryzen 5 6600H:1480

Core i5-11400H:1480

Ryzen 3 7330U:1370

Core i5-1135G7:1350

Core i3-1115G4:1300

Celeron N5100:580

Celeron N4100:380

マルチコア(並列処理)のパフォーマンスモードのスコアは約12800
さすが最新の性能重視型、Core i5 と言えどノートパソコンとしてはトップクラスの能力だ。

また、本機のパフォーマンスモードは TDP45W のCPUをブースト中は60W前後、ブースト後も55W前後で動かしていたため、定格以上の能力が発揮されている。
ただ、それゆえに高負荷時のCPU温度は90℃前後とかなり高く、ファンの動作音も55dbほどの大きな音を出し続けていた。

バッテリーの消費も増えるためか、MyASUS の設定画面には「パフォーマンスモードはACアダプターを接続した状態でお使いください」といった注意書きがある。

シングルコア(単一処理)のスコアは約1780前後で、これは動作モードを変えても変化しない。
第13世代 Core だけあって、十分に高い。

スタンダードモードだと、マルチコアのスコアは約12000ほどになる。
ブースト時はパフォーマンスとほぼ同じだが、20秒ほどのブーストが終わった後は45Wで動作していた。ほぼ定格動作だ。
ファンの回転数が落ちているためか、CPU温度はパフォーマンスと同じ90℃前後だったが、ファンの騒音は抑えられており50dbほど。

音が大きくなりづらく、スコアもパフォーマンスとあまり違わないので、パワーが必要なときでもスタンダードモードで良い印象だ。

ウィスパーモードはマルチコアのスコアは約9650まで低下する。
高負荷でもブースト時で45W、ブースト後は35Wで動作するようになり、つまりダウンクロックと言える。
しかしすごく静かになり、高負荷時でも音は40db以下、普段はほぼ無音だ。
ファンがあまり回らないためCPU温度は80℃ほどと、やはり高めだが、標準的な範囲。

第13世代 Core の標準型ぐらいの処理能力はあるので、オフィスなどで使う場合はもちろん、普段もウィスパーモードで使用する方が良いと思う。
バッテリーも長持ちするはずだ。

以下はパソコンの動作測定に使われる PCMark10 の結果だ。(パフォーマンス時)

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition PCMark10

全体的に高い数値が出ており、一通りの作業を快適にこなせることがわかる。
ビデオカード未搭載機なので3D描画はさすがに低いが、他は動画編集も含め、弱いと言える部分はない。

グラフィック性能(GPU)

本機のグラフィック機能(3D描画性能)にはCPU内蔵の Iris Xe が使用される。
Intel 自慢の優秀な内蔵グラフィック機能だが、Core i5 のものは Core i7 や Core i9 のものより性能が下位となる。
それは Core i5-13500H が性能重視型であっても変わらない。
ただ、省電力型のCPUのものよりはパワーはある。

以下は 3D Mark(Time Spy)で調べた、本機の3D描画性能だ。
なお、検証はパフォーマンスモードで行っているが、グラフィック機能に動作モードの影響は特になかった。

Core i5-13500H, ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition, 3Dmark TimeSpy
※ゲームパフォーマンス予測の1080pは解像度1920x1080、1440pは2560x1440。
Ultra は最高画質設定であることを示す。

・3D Mark: TimeSpy(下位ノート用GPU)

GeForce RTX 4050 Laptop:8500

GeForce RTX 3060(note):8350

GeForce RTX 1660Ti(note):5550

GeForce RTX 1660:5400

GeForce RTX 3050(note):4850

GeForce GTX 1650Ti(note):3680

GeForce GTX 1650(note):3400

GeForce GTX MX550:2650

GeForce GTX 1050Ti:2200

Iris Xe(第13世代 Core 内蔵):1800

Iris Xe(第12世代 Core 内蔵):1700

Ryzen 5 6600U(CPU内蔵、RDNA2):1600

Iris Xe(第13世代 Core i5、本機):1500

Iris Xe(第11世代 Core 内蔵):1400

Core i3-1115G4(CPU内蔵、Intel UHD):700

Ryzen 3 7330U(CPU内蔵、Vega 6):580

本機のグラフィックスコアは約1500。 第13世代 Core i5 だと妥当なスコアだろう。

実際に3D描画のゲームを動かしたときの速度は、Iris Xe に最適化されている「モンスターハンターライズ」だと(解像度1920x1080の)中画質で55fps(秒間55コマ)で動作する。
60fps 近い速度が出るため、快適にプレイ可能だ。

しかし「エルデンリング」や「アーマードコア6」といった最新作や、3Dの街並みが表示される「龍が如く」系のゲームは、すべて中画質で25~30fpsという微妙なところ。
プレイ可能なレベルではあるが、一般的に 30fps が普通に遊べる目安であり、そこに若干届いていないのが惜しい。

「ストリートファイター6」は最低画質にしても無理。
「ファイナルファンタジー15」のベンチマークは軽量画質でスコア2940、「やや重い」という評価だった。

本機でモンハンライズを中画質で動作
このゲームはかなり快適に動く

本機でアーマードコア6を中画質で動作
30fps弱だが遊べる範囲だ

高機能・高性能なパソコンだが、少なくとも Core i5 モデルは、ゲームをやるものではないかな、という印象。
発熱が高くなり、ファンの動作音も大きくなる。
ただ、CPUの処理性能は高いため、3D描画のないゲームなら快適に遊べるだろう。

なお、Core i9 モデル(Core i9-13900H)はグラフィックスコア1800で、エルデンリングや龍が如くなどは中画質で 30~40fps で動作する。

一般の用途においては、これだけの性能があれば十分である。
SNS はもちろん、Google マップの3D表示や、Youtube などの動画サイトも、内蔵グラフィック機能の補助により素早く表示される。
映像の再生も快適に行えるだろう。

ストレージ(記録装置)とメモリ

ストレージ(データ記録装置)には小型で最新の NVMe SSD が使用されていた。
標準的な Gen3 より速度性能に勝る、Gen4(第4世代)の製品。

容量は 512GB で、ノートパソコンの標準的な量だ。(Core i9 モデルは 1TB)
ASUS 製品はカスタマイズができないので、変更や増量は行えない。

試用機にはサムスンの PM9B1 というOEM(企業納入用)の NVMe SSD が入っていた。
PM9A1(SSD 980 PRO)の下位モデルと思われ、コストパフォーマンス重視の製品のようだ。

以下はベンチマーク(性能測定)ソフトで測ったストレージ性能だ。

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition, Crystal Disk Mark, default

標準設定での測定

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition, Crystal Disk Mark, NVMe SSD mode

NVMe SSD 設定の測定

読み込み 3600MB/s、書き込み 2500MB/s で、ほぼ公称通りの性能。
ランダムアクセスも含め、Gen4 の NVMe SSD としては速い方ではないが、標準的な Gen3 の製品と比べれば上位である。

メモリは最新の省電力メモリ LPDDR5 が使用されている。
従来型より速度と電力効率がアップ、高速にデータのやり取りを行える。

具体的にどれだけ影響しているのかはわかり辛いが、各作業の処理速度や、内蔵グラフィック機能のデータ処理、高解像度での画面表示などに、少なからぬ影響を与えているはずだ。

搭載量は16GBで、2本のメモリを使って高速化するデュアルチャネルで動作。
オンボードメモリ(基板に直付け)のため交換や増設を行うことはできないが、16GBあれば一般の用途では十分だろう。

総評

迷彩をベースとした A BATHING APE のデザインは、賛否が分かれそうではある。
ただ、本体のデザインは思ったほどパンクではなく、見るからに豪華で、ファッショナブルなパソコンを求めている人には良い。

デザインばかりに目が行きがちだが、有機EL搭載のASUSの個人向け上位モデルなので、性能・機能面でも素晴らしい。
モニターは破格の美しさでサウンドも高音質、バッテリーも大きくてCPUの処理性能も高い。
動画視聴用のパソコンとしてはトップクラスであろう。

コンセプトとしてはカジュアル・クリエイターノートと思われ、15.6インチなのは、創作作業のためにはテンキーと相応の画面サイズが必要だと判断されたからではないだろうか。
必然的に一般事務にも向き、静音モードもあるので、見た目は派手だがオフィス機にも良い。
付属品は軽くてクッション性のある専用バッグが便利だ。

BAPE が好きで、新型PCが欲しいと思っている人なら、避ける理由はない。
そうでなくても、コスパも含めて総合的に優れたノートパソコンなので、デザインが嫌いでなければイチオシできる製品である。

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Edition(2023年)

ASUS Vivobook S 15 OLED BAPE Editionicon

※以下のスペックは Core i5 モデルのものです
形式:15.6型ノートパソコン
CPU:Core i5-13500H(第13世代 性能重視型)
グラフィックス:CPU内蔵(Iris Xe)
メモリ:16GB(LPDDR5-4800)
ストレージ:512GB NVMe SSD(Gen4)
モニター:有機ELディスプレイ(OLED)、解像度2880x1620、DCI-P3 100%(sRGB133%)、リフレッシュレート120Hz、超高輝度(600nit)、光沢
サウンド:ハーマン/カードンのスピーカー、ドルビーアトモス搭載
通信:Wi-Fi 6E、Bluetooth 5
カメラ:約200万画素、指紋認証、WEB会議補助機能
モバイル性能:約1.6kg、バッテリー公称14.4時間(75Wh)
その他:天板とパッドに迷彩デザイン、3段階の動作モード、AIノイズキャンセラー、Thunderbolt 4、180度開閉ヒンジ、各種OLED保護&色調整機能、90W軽量アダプタ
付属品:A BATHING APE 特製のフィギュア、バッグ、マウス、ステッカー
価格:税込149,800円

※詳細は ASUS Store をご覧ください。
※試用機は白と青ですが、黒と緑のカラーiconもあります。
Core i9 搭載モデルiconもあり、199,800円です。こちらはストレージが1TBになります。
※仕様・価格は時期により変更の可能性があります。